VR環境におけるレイキャストによるオブジェクトの選択成功率推定ツールの提案

公開日: 2025/12
VR環境におけるレイキャストによるオブジェクトの選択成功率推定ツールの提案
概要
VR空間におけるUIの選択(レイキャスト操作)のしやすさを定量化し、Unityエディタ上で確認することができる開発支援ツールです。
これまで開発者の経験則や主観に頼っていたVR UIの配置・サイズ設計に対し、統計的根拠に基づいた客観的な指標(成功率%)を提供することで、HMDを装着しての反復テストの工数を削減し、ユーザビリティの向上に貢献します。
解決した課題
開発の非効率性: VR開発では、UIの押しやすさを確認するために都度HMDを装着して実機確認する必要があり、修正コストが高い。
定量的指標の欠如: 2DのWeb開発には「Tappy」のようなツールがあるが、VRの奥行きや立体的な配置を考慮した実用的なUI評価ツールが存在しなかった。
アプローチ・技術
データ収集とモデリング:
Meta Quest 3を用いたユーザー実験(n=18)を実施し、8,640件のポインティングデータを収集。
ターゲット幅(W)と移動距離(A)を変数とし、終点分布が二変量ガウス分布に従うことを確認。決定係数($R^2$) 0.98以上の成功率予測モデルを構築しました。
Unityエディタ拡張の実装:
構築したモデルをUnityに組み込み、ヒエラルキー上のオブジェクトを選択するだけで、現在のカメラ位置・スケールに基づいた「選択成功率」をリアルタイムで算出・オーバーレイ表示する機能を実装しました。
ターゲット形状(球・矩形)、ワールド座標系への対応、オフセット考慮などのオプション機能を搭載し、実開発に耐えうる仕様としました。
実績・評価
予測精度: 交差検証(LOOCV)において、平均絶対誤差(MAE) 2.39%、$R^2=0.985$ という高い予測精度を達成。
ユーザー評価: VRゲーム開発経験者およびVRChatワールド制作者による検証を実施。「HMDを被らずに客観的な数値で判断できるため、QAフェーズや設計初期の指針として有用」との評価を得ました。
対外発表: 第33回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ (WISS 2025) にて発表。
使用技術・ツール
C# / Unity (Editor Extension)
Meta Quest 3 (実験機材)
MATLAB, Python (データ分析・統計処理)